山内 健司

こんにちは。私は俳優です。俳優はセリフをしゃべります。自分とは大事にしてる事も、差し迫った状況も全く違う、台本の中の人が、なんでこんなことを言うのだろうって考えに考えて、あ、そうかわかった、すごいな！　ぜひこの言葉を喋りたい！というところまで盛り上がって、見てくれる人の前で実際に喋る。喋っているのは100%私自身なのですが、それがなぜかフィクションの中の人に見えるように世界をつくる、そんな仕事です。

自分とは、ことなる町、ことなる国、ことなる言語、ことなる時代、ことなる人生にある他者を訪ね、その人に心を打たれるこの仕事は、旅そのものです。舞台芸術はあらゆる場と時につながる、窓なのだと思います。

この大学が掲げる舞台芸術と観光はともに、世界と直接につながる窓そのものです。しっかりと毎日を生きている人々が、その窓辺で大きく息を吸い、流れ込む大量の酸素に驚き、自分がそれを必要としていたことに気づく。私たちはきっと世界中にそんな空気穴をつくる専門家になるのだと思います。

そして毎日をともに過ごす隣人もまた、他者です。隣人と出会う窓辺も、旅そのものです。そこに心動かされることは、他者への敬意の核心部ではないでしょうか。

みんなで窓を作りましょう！