芸術文化観光専門職大学

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入学式を挙行しました

2026年4月2日、6期生85人の新入生が出席し、入学式を執り行いました。

平田オリザ学長は「異なる価値観と向き合い、それをすりあわせ、合意を形成する力を身につけてください。」と式辞を述べました。

  • 式辞全文はこちら

    芸術文化観光専門職大学第六期生の皆さん、ご入学おめでとうございます。教職員、在校生一同、皆さんを心より歓迎いたします。
    この大学を選んでくれて、ありがとう。

    また本日は、今学期から本学で学ぶ二名の韓国からの留学生も同席しています。
    半年の短い間ですが、日本での留学生生活が充実したものになることを願います。

    ご家族の皆様におかれましても、今日の日の喜びはひとしおかと存じます。
    ここにいるほとんどの学生にとっては、人生で初めての一人暮らしが始まります。ご家族の皆様は、まだまだご心配のことも多いかと存じますが、しかし現在、大学入学者は全員が新成人となります。選挙権を持ち、様々な契約を自己の判断で行い、そして一定の社会的責任も負う存在です。私たち教職員は学生一人ひとりを自立した個人として扱い、一人ひとりの人格と人権を尊重し、そして一方で新しい生活と学びのサポートを全力で行ってまいります。
    寮生活では、人間関係に悩むこともあるかもしれません。しかし多くの先輩たちは、そこで一生の友を得る経験もしています。ゆっくりと、焦らずに、新しい生活に慣れていって下さい。

    本学は、二○二一年、それまで四年制大学のなかったこの但馬地方に、地域の大きな期待を担って開学しました。
    私たちは、つい一週間前に第二期生を社会に送り出すことができました。私たち教職員が何よりも誇りに思うのは、すべての卒業生たちが、豊岡、但馬を大好きになって,この学び舎を巣立っていってくれたことです。
    きっと皆さんも、これからの四年間を,この地で過ごすことで、この地方を大好きになってくれることでしょう。
    それほどにここは魅力的な場所です。勉強はもちろんですが、四季折々のレジャー,城崎温泉や湯村温泉はもとより、海水浴やスキー、キャンプなどもぜひ積極的に出かけていってください。9月の豊岡演劇祭はもちろんですが、地域の祭りなどにも積極的に参加してみてください。友と遊び、語り合い、美味しいものをたくさん食べて、存分に但馬ライフを楽しんでください。
    これから本学で観光を学ぶ皆さんには、まず自分自身が、レジャーや旅を存分に楽しむ習慣を身につけていただきたいと思います。

    開学六年目を迎えます本学について、日頃より多大なるご支援、ご協力をいただいております齋藤元彦兵庫県知事、國井総一郎兵庫県公立大学法人理事長、山口晋平兵庫県議会議長はじめ県議会の皆様、兄弟校である兵庫県立大学の皆様、周辺自治体の市長、町長様、そしてなにより但馬の地域のすべての市民、町民の皆様に、あらためて心から感謝申し上げます。ここまでのご支援、ありがとうございました。また新入生を、あたたかく迎えてあげてください。

    一週間前の卒業式では、私は人類の進化の歴史をたどって、ヒトは集団で生活をするために共感する力、そのための踊る身体、歌う身体、そして演じる身体を獲得してきたという話をしました。そのときの式辞はWEB上でも公開されているので読んだ方もいらっしゃるかと思いますし,読んでいない方はあとで目を通してください。
    私は,演じること、演劇のもう一つの起源は、伝えること、コミュニケーションの起源と深く関わっていると考えてきました。
    およそヒトだけが、家族と群れという二つの共同体に所属します。ゴリラは家族単位で行動します。チンパンジーは群れ単位で行動します。しかしヒトは、その両方に所属します。諸説ありますが、授乳期間が極端に長い私たちヒトは、洞窟で子供を育てながら留守を守る役割と、木の実をとったり狩りをしたりする役割の分業を余儀なくされました。
    それが人間社会に複雑なコミュニケーションの生まれた、一つの大きな理由だと私は考えています。
    狩りから戻ってきた者は、留守を守っていた者に「今日、こんな大きなマンモスがいてさ」と報告をします。逆に留守を守っていた者も、「今日はこんな大きなライオンに襲われそうになった」と、その様子を伝えなければなりません。逆に狩りに出た先では、「今度、妻が三人目の子供を産むので少し肉をたくさん持って帰りたいんです」と説明もしなければなりません。
    ゴリラは家族全体で同じライオンを見ます。チンパンジーも群れ全体が同じライオンに遭遇します。皆が同じものを見ているわけですから、体験を伝える必要は特にないのです。ヒトの社会にのみ、共同体の中で異なる経験が起こります。そこに、「伝える」すなわちコミュニケーションの必要性も生まれます。これを私は,人類史における「伝達革命」と呼んできました。
    当然、その「伝える」という行為には,巧拙、上手い下手が出てくるでしょう。そもそも「こんな大きなマンモス」と言っても、どのくらいの大きさなのか。そのとき、絵に描いてそれを伝えた者もいたでしょう。マンモスの足音で,それを表現した者もいたでしょう。あるいは身振り手振りで伝える者、そして言葉たくみに伝える者も出てきたでしょう。これが芸能、芸術の起源です。
    さらに私たちヒトは、言語の発達とともに長期の記憶を持つようになりました。「かつて、この村でこんな大きなマンモスが捕れた」さらには「そのとき、こんな英雄が現れた」。神話や伝説の誕生です。

    一方で私たちは未来も語れるようになりました。「いつか、この村に大きなマンモスが来るかもしれない」「やがて、この浜辺に大きな鯨が打ち寄せられて,人々を飢餓から救うだろう」。預言や宗教は,このようにして始まったのかもしれません。

    実は厳密に言うと、他の霊長類の中にも二つのコミュニティに所属する種がいます。エチオピアの高地に住むゲラダヒヒというサルです。このサルは、進化の系統から考えるとチンパンジーやゴリラといった類人猿と比べて、ヒトからは遠い存在です。ちなみに英語では類人猿をape と呼び、サルをmonkeyと呼んで、はっきりと区別します。
    しかしこのゲラダヒヒは、ゴリラやチンパンジーなどの類人猿ape よりも複雑な社会を形成しています。ゲラダヒヒの家族には、不思議なことに、なわばりがありません。ときに、いくつかの家族が集まってバンドと呼ばれる大きな群れを構成し、重層構造を持った社会を形成しています。
    ゲラダヒヒも野獣ですから、餌を巡っての小さな衝突はあるでしょう。他のサルなら、そういった衝突の際には序列の上のものが下のものを威嚇し、時に噛みついたりして追い払います。ところがゲラダヒヒの場合には、暴力は使わずに、なだめたりすかしたりなどして、どうにか物事を丸く納める。相手からの攻撃を事前に回避したり、攻撃性を和らげたりして寛容な仲間関係を作るのだそうです。
    この特異な集団形成を可能にしているのは、ゲラダヒヒの言語能力です。言語といっても人間のそれと単純には比較は出来ませんが、ゲラダヒヒの声、表情、身振り手振りは大変複雑で、三十種類以上の音声が観察されています。また、色々な意味の音声を単独で発声するだけではなく、ときにそれを組み合わせて使用している例もあるそうです。
    力による支配が一般的な他のサルの社会では、細かいコミュニケーションのための言語は必要とされません。チンパンジーやゴリラのようなape でさえも相手を威嚇するための叫びや、服従を示す鳴き声だけで事足ります。しかしゲラダヒヒのような重層的で平和な社会を築くためには、どうしても複雑な音声コミュニケーションが必要とされるのです。現にゲラダヒヒの持つ伝達メッセージのなかには、他者を安心させる、なだめる、懇願するなど、人間で言えば「まぁまぁまぁ」「いやいや、そこはさ」といった曖昧な表現が多く存在します。
    繰り返しますが、ゲラダヒヒは、進化の系統の上からは、チンパンジーやゴリラに比べて、ヒトから遠い存在です。だから、なぜゲラダヒヒのみが、このように特殊な社会を形成し、また特殊な音声コミュニケーションを獲得したのかは判りません。ただ、平和的で複雑な社会がコミュニケーションの高度化を要請し、また逆に、その言語の高度化が、一層複雑な社会の形成に寄与したことは間違いないでしょう。

    二○○九年、私はフランス東部、スイス国境にも近いブザンソンという地方都市の動物園で、本物のゲラダヒヒを見ました。
    その動物園では、十七世紀に建てられた城塞の石垣を利用して、エチオピア高地の断崖絶壁が見事に再現されており、その崖にへばりつくように彼らは暮らしていました。
    私はそのとき、この地方都市の国立演劇センターで、日本とフランスとイランの三ヵ国合同の舞台作品を創っていました。
    フランスは伝統的に、軍事的、政治的には対立している国とほど、文化面では仲良くしておこうという、したたかな外交政策をとってきました。これを文化外交政策と呼びますが、このような政策の一環として私がフランスに呼ばれて演出をした作品でした。
    そのとき一緒に仕事をしたイランの俳優たちは、いまもテヘランに暮らしています。とても心配です。彼らの生活が安全であること、そして彼ら、彼女らが俳優としての活動を続けられていることを祈らずにはいられません。
    イランでの戦闘が報じられるたびに、私は、このブザンソンのゲラダヒヒのことを思い出します。イランはペルシャの伝統を引き継ぐ、文化の国です。ペルセポリスに代表される世界遺産は29件を数え、日本の26件をしのぎます。平和が訪れれば、観光地としても大きなポテンシャルを持った国なのです。
    世界各地で起こっている様々な戦闘の一刻も早い終結を願います。

    さて、冒頭、お話ししたように、皆さんはこれから、日本の各地から集まった友たちと生活を共にします。そこには二人の留学生もいます。
    これまでの高校での生活とは格段に複雑な、多様性に富んだ日常が皆さんを包みます。
    異なる価値観を一つにする必要はありません。異なる価値観と向き合い、それをすりあわせ、合意を形成する力を身につけてください。

    世界情勢は混沌とし、力による支配が当たり前の日々となっています。
    しかし希望はあると私は思います。
    日本は隣国韓国を植民地化した暗い歴史を持っています。その過去に目を背けてはなりませんが、しかし、一方でいま日韓の若者たち、君たちの文化的な交流は日々活発となっています。私がソウルに留学をした四十年前に比べても、今の両国間の関係は夢のように進展をしてきました。
    昭和の時代には、両国の交流の中心は経済でしたが、今はそれに加えて,観光、文化、芸術、スポーツが、その大きな要素となっています。私はそこに大きな希望を感じます。

    ゲラダヒヒにできることが,私たちにできないはずがない。
    重層的で平和な社会を築くためには,豊かな言語コミュニケーションが必要です。
    語り合ってください。
    大学とは、言語によって、多様な価値観を包摂し、それを力とする場です。物事を単純化せず、社会の複雑さを受け止める力が皆さんには求められます。

    あらためて、入学おめでとうございます。
    この大学は、まだ五年の歴史しかありません。皆さんが六年目のページを開きます。
    ここにいる新しい友と、君たちの入学を心待ちにしていた在校生と、そしてすべての教職員が手を取り合って、新しい大学を作っていきましょう。
    皆さんを心から歓迎します。

    令和八年四月二日

    芸術文化観光専門職大学 学長
    平田オリザ

齊藤知事、國井理事長、山口県議会議長をはじめ、多くの来賓にご臨席いただきました。

厳粛でありながら新たな一歩を踏み出す決意と希望に満ちた空気に包まれる中、新入生代表の白谷美久さんが「支え合い、ときに励まし合いながら、一つひとつの経験を丁寧に積み重ね、挑戦を楽しみ続けることを誓います」と宣誓を行いました。

大学主催の第一部入学式終了後は学生会主催による第二部を実施したほか、学術情報館で在学生が演奏、漫才、ダンスなどで6期生を歓迎しました。

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